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The Brother

プロジェクト概要

THE BROTHER 富山弁アニメ

富山弁のみで構成されたオリジナルアニメーションシリーズ
「THE BROTHER 富山弁アニメ」の企画・アニメーション制作を担当。

方言を単なる言葉の違いとして扱うのではなく、
リズム・間・感情表現そのものとして映像化することを目的とした作品である。
地方に根付いた言葉の持つ強さやユーモアを、
アニメーションという形式で再構築した。


制作過程

制作にあたっては、富山弁を「翻訳すべき方言」としてではなく、
最初から富山弁でしか成立しない世界観として設計した。

セリフは標準語に置き換えず、
語尾やイントネーション、間の取り方をそのまま活かし、
言葉の勢いとキャラクターの動きが直結するようアニメーションを構築している。

また、説明的な演出は極力避け、
意味が完全に分からなくても
「音と表情とテンポ」で伝わる構成を意識した。
これは、言葉を超えて感情が届くアニメーション表現を目指した結果である。


結果

富山弁という強いローカル性を持ちながらも、
地域外の視聴者にも「意味は分からないけど面白い」「感情が伝わる」
という反応を得る作品となった。

方言をそのまま使うことで、
キャラクターの存在感や関係性が際立ち、
地域性そのものが作品の個性として機能している。


考察

本作を通して、
方言は情報の障壁ではなく、
キャラクターと感情を立ち上げるための強力な表現資源であると実感した。

標準語に寄せることで失われるリズムや間は、
アニメーションにおいてはむしろ武器になる。
富山弁だからこそ生まれるテンポや空気感が、
作品全体の説得力を支えている。

地域に根ざした言葉や文化を、
ローカルに閉じた表現としてではなく、
普遍的な面白さを持つコンテンツとして提示できた点は、
今後の映像・アニメーション制作においても重要な経験となっている。