★がんといっても、その種類や進行度によって状態はさまざまです。
患者さんに一番適した治療法や療養生活のことは、患者さんと担当医が話し合って決めていく必要があります。
まずは、担当医とよく話し、自分の状態を正確に把握することが大切です。その上で、自分の病気のこと、検査や治療法、療養生活などについて、もっと詳しいことを知りたいと思ったときは、自分でも調べてみましょう。
情報を得ることで、知らなかったことに対する漠然とした不安が軽減することもあります。
また、納得のいく決定をするにあたっても、その情報が判断材料となることがあります。
以下に「がん情報を探すときの5つのポイント」と「がん情報を見極めるときの3つのポイント」を提示します。
【がん情報を探すときの5つのポイント】
- 今、必要な情報は何か、考える。
状況によって、必要となる情報はさまざまです。
自分にとって、いま必要な情報は何か、考えてみましょう。
メモに書き出すことで、頭の中を整理し、人に伝えることのきっかけとなり、情報のありかを探すことにつながるかもしれません。
- インターネットを活用する。
インターネットを活用すると、たくさんの情報を簡単に入手できます。
自分で使えなければ家族など周囲の人に調べてもらいましょう。
- がん相談支援センターを利用する。
情報の探し方がわからないときには、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターを利用してみましょう。
相談員と話すうちに、問題が整理できることもあります。
- 信頼できる情報か、考える。
情報の正しさと、その情報が自分に当てはまるかどうかを判断するときには、情報の信頼性が大切です。
複数の情報を照らし合わせ、担当医に確認して判断しましょう。
健康食品やサプリメントなどの補完代替療法のうち、がんへの効果が証明されたものはありません。
中には有害なものもありますので、注意しましょう。
- 行動する前に、周囲の意見を聞く。
得られた情報をもとに行動する前に、担当医や家族、また患者仲間などに意見を求めましょう。
自分の判断の助けになります。
【がん情報を見極めるときの3つのポイント】
健康や医療に関する情報は、自分の健康、そして命に関わるものです。
がんに対する情報を見聞きしたときには、次のことを疑ってから、「自分にとって正しい情報」であるかどうかを判断しましょう。
正しい情報かどうか、3つのポイントでも判断がつかない場合は、信頼できる情報源を参考に信頼できる医療従事者に相談しましょう。
- いつの情報か。
医療に関する情報は研究が進められるにつれて進歩しています。これまで信じられていた情報が、研究が進んだことで、間違っていたことが明らかになることもあります。 古い情報や、いつのものであるかが不明な情報は、そのまま信じない方がよいでしょう。
- だれが発信しているか。
薬や食品などの企業による販売目的の広告ではないか確認しましょう。
効果が確認されていない治療法や食品などの宣伝を目的としている場合には、信頼できる情報とは言えません。
また、著名な先生であったとしても、その先生個人の意見の場合には、必ずしも科学的に正しいとは言えない場合があります。
- 何を根拠にしているか。
ある物質が多くの人のがんに有効であると科学的に確認されるためには、試験管での実験から始まって、動物、少数の人、何十人、何百人、場合によっては何万人の人を対象とした何段階にも及ぶ研究が必要です。
ネズミで効果があったという研究結果があっても、人での効果がきちんと確認されていない場合はまだ信頼できる情報ではありません。
★国立がん研究センターがん対策情報センターでは、がんに関する信頼できる、わかりやすい、役に立つ情報を作成しています。
がんと診断されて間もない患者さんには、必要な情報を取りまとめた「患者必携 がんになったら手にとるガイド」や「わたしの療養手帳」があります。全国のがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターで見本版をご覧いただけます。書店で本として購入もできます。それぞれのがんの診断や治療、また療養について、詳しく知りたいときは、「がんの冊子」があります。がん情報サービスでは冊子の全てのページの閲覧や印刷ができます。また全国のがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターで入手することもできます。「がん情報サービス」では、がんの診断や治療について、さまざまな症状への対処法、治療費や生活費の支援制度、心のケアやコミュニケーションのヒントなど、幅広く情報を得ることができます。あなたの地域のがん診療連携拠点病院やがん相談支援センターはインターネットで検索することができます。
*患者さんの手記・・・情報を得ることが、今後の指針になった
当初、治療のこと、今後のこと、わからないことがたくさんあり、不安でいっぱいでした。でも、自分も一緒に治療に参加する気持ちで病気の情報を集め、勉強するうちに、医療者の説明もよりよく理解できるようになり、納得してがん治療に取り組めた気がします。情報を得ることで、時にはつらい現実に直面させられた思いになることもありました。でも、何もわからずにいると、長い療養生活のうちにきっと不安が生じます。さまざまな選択肢を知ることは、今後の生き方を考える上での指針になると思います。
*患者さんの手記・・・まずは「がん情報サービス」から
今はインターネットをはじめとし、がんについての情報はあふれています。でも、個人の限られた体験に基づくものや、悪い情報も多いように感じました。その中から「信頼できる」情報を見分けるのは素人の私には正直判断がつきませんでした。その意味から、情報探しのはじめの一歩には、「がん情報サービス」とがん対策情報センター発行の冊子を活用されることをお勧めします。私自身、手術、抗がん剤治療を経験しましたが、正しい情報を得ることで、納得して治療に取り組めた気がします。
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
監修 大塚弘毅先生(杏林大学医学部附属病院)