パンダうさギーズhttps://big-up.style/uviwifz2tO
プロジェクト概要
自作曲をそのままリリースしても面白くない、というところから始まった企画。
「だったら、全然違う存在に歌ってもらったらどうなるのか?」という、ほとんど悪ふざけに近い発想だった。
作曲者本人の声やキャラクター性を前面に出すのではなく、
“女の子が歌っている”という設定そのものを作品化することを目的としたプロジェクトが「パンダうさギーズ」。
バンドでも、ユニットでも、VTuberでもない。
実体があるようで、ない。
でも、配信上ではちゃんと「アーティスト」として存在する。
その中途半端さを、あえて成立させてみる実験だった。
制作過程
まず行ったのは、
「誰が歌っているのか」を曖昧にすること。
・作曲者の匂いを消す
・年齢や背景が想像できすぎない声
・上手すぎないが、成立している歌
そうした条件を重ねながら、
楽曲はあくまで“提供曲”の立ち位置に置いた。
次に、
リリース方法を完全に正規ルートに乗せることを重視した。
冗談の企画でも、
著作権処理・配信申請・名義設定はすべて通常のアーティストと同じ手順を踏む。
「ネタだから雑にやる」はやらない、というルールを自分に課した。
結果として、
実体はないが、仕組み上は100%本物のデビューという状態が出来上がった。
結果
配信後の反応で一番多かったのは、
「で、これ誰なの?」という純粋な混乱。
・実在するのか
・プロジェクトなのか
・どこまでが本気なのか
その曖昧さ自体が、作品の一部として機能した。
また、
「ちゃんと正規リリースされている」という事実に驚かれることも多く、
AI・匿名性・キャラクター音楽が混ざり合った現在の音楽状況を、
かなりストレートに映す結果になったと感じている。
考察
この企画で一番面白かったのは、
**“実態がないこと”よりも、“責任だけは発生すること”**だった。
名義を作り、配信をすると、
そこには再生数・クレジット・問い合わせ・期待が生まれる。
冗談で始めた存在でも、
一度世に出ると「作品」として扱われる。
パンダうさギーズは、
キャラクター音楽でもあり、
実験音楽でもあり、
同時に「今のリリース環境そのものを使った作品」でもある。
音楽そのものだけでなく、
“どう出すか”“誰として出すか”まで含めて表現になる時代。
その一断面を、かなりラフな形で切り取れたプロジェクトだったと思う。
