プロジェクト概要
キャンサーパンサー
がん検診の重要性を伝えることを目的に制作した、
オリジナルキャラクターによるマンガおよびアニメーション作品。
がんを患ったクロヒョウ「キャンサーパンサー」を主人公に、
重くなりがちなテーマを、
ユーモアと親しみやすさを持った表現として再構築している。
制作過程
本作は、自身が口腔がんを経験したことをきっかけに企画された。
当事者としての実感をそのまま語るのではなく、
キャラクターを介することで、
誰にとっても受け取りやすい距離感の表現を目指した。
病気や治療の話題を過度に説明するのではなく、
不安・戸惑い・生活の変化といった感情を中心に構成し、
読者や視聴者が自分ごととして想像できる余白を意識している。
キャラクターデザインでは、
強そうでありながらどこか抜けた存在として描くことで、
深刻さと笑いが共存するバランスを探った。
結果
マンガ作品として発表した後、
反響を受けてアニメーション化を実施。
クラウドファンディングによる制作資金の調達を行い、
より多くの人に届く形へと展開した。
作品は、がん経験者だけでなく、
検診に関心を持っていなかった層にも届き、
「重いテーマなのに見やすい」「笑いながら考えさせられる」
といった声を得ている。
考察
本作を通して強く感じたのは、
社会的なテーマであっても、
説得ではなく共感から始める表現が人の行動につながるという点である。
キャラクターと物語を通すことで、
病気というテーマを恐怖や注意喚起だけで終わらせず、
「自分も検診に行ってみよう」と思える距離に近づけることができた。
個人的な体験を出発点としながらも、
社会に向けたメッセージへと翻訳するこの制作手法は、
今後の映像・マンガ制作においても重要な軸となっている。
